鈴木つねおと「みんなで創る藤沢の会」の「市政で実現していく目標」には、新しい政策の名前がたくさん出てきます。ここではその政策を個別に説明します。
「主催者は快適に遊べる器を作り、参加する人々が自由に遊べる環境を提供する、それがお金をかけずに無限のコンテンツを生み出すコツである」という手法に従い、「行政は快適な器を作り、市民がそこで主役となる」という形の産業振興を行います。
説明の例では海岸地域をあげていましたが、北部地域では農業を題材にしたモデルを作っても良いですし、市民との議論でコンセンサスが得られれば、藤沢駅前再開発の素材としても良いでしょう。
江ノ島などの従来の観光地からの観光客を奪うのではなく、現在藤沢市に目を向けていないそう、或いは車で通り過ぎてく層に対してのアピールとして、観光客の純増を目指します。夏期などにはその他の季節と比較して観光客が純増しており、それに相当する観光客の何割かを恒常的に藤沢に来たくなるような環境を整備すれば可能と考えます。
具体例としてあげるのは、沖縄県那覇市の公設第一市場のように、下がマーケット、上がその素材を使って料理を提供するカフェテリア。顧客は1階で買い物だけをしても良いし、2階で食事だけをしても良い。1階で素材を買ってそれを持ち込んで2階で料理してもらう事も可能。(ただし公設市場ほど雑然とした作りではなく、藤沢地域にマッチするイメージとする)
またそれに加え景観を生かすことで、他と比較してより美しい風景を見ながら食事をする事ができる場所とする事ができます。
かつてあった「湘南なぎさシティ」計画との相違点は、大規模ディベロッパーを入れないこと、景観を壊さないこと、地元商店および地元店舗のみが出店可能とすること(あくまでも現在持っているお店のサブ店舗として、ファンとなった顧客の市中への環流を目指す)。そうすることで、市内で回る経済を刺激します。
基本的には景観条例に近いものですが、相違点は「戦略的に観光価値を生み出す景観を作る」「防災の為に作られる家屋に景観的価値を持たすことで、単なる防災計画に終わらせない」「強制的に変えるのではなく、リフォームや立て替えの機会を捉えて、市民に協力して貰う形で整えていき、最終的に統一された街の雰囲気を持つようにする」などです。
具体的な案件としては、旧藤沢宿の地域を宿場町風に復元する形の条例を定め、現在残っている歴世的建造物に関する保存の補助や、文化遺産として指定、世代間継承を容易にする他、景観に配慮した建造物を建てるための補助などを行っていきます。
また海岸地域は「津波に強い家」の基準が今後策定されるか、或いは市として積極的に働きかけていくことで、その基準に従って建てられる家の建築様式と色調を決め、その地域の統一感をはかることで、単に災害対策の制限だけでなく観光資産的価値を向上します。
具体例としてはギリシャのミコノス等のように、コンクリート製箱形で白塗装を指定して、海岸地域を走行中や、或いは江ノ島からの景観が白く統一されて見えるようにして、景観価値を高めます。
市民的議論の上コンセンサスが得られれば、非浸水予想地域であっても、電車の線路沿い、或いは主要な道路は同様の規制対象として、藤沢駅から南側は、いずれの交通手段を使っても同様なイメージが得られる雰囲気を目指す、と行った発展が考えられます。「藤沢にきたなぁ」という雰囲気を演出することで、ファンを増やすことができるでしょう。
一定の価値を認められた段階で、藤沢駅以南の非浸水地域の一般住宅に関しても、同等のイメージ統一に協力する場合は、塗装の補助を行うなどの施策を講じることで、さらに広域のイメージ統一を図り、藤沢ブランドの構築を進め、単に観光客だけでなく、「住みたい街」となるように進めて参りたいと思います。
地域コミュニティの再生の切り札と、また副次的に防犯効果が望まれるのが、小学校学区単位に整備される交流スペースです。実例としては鹿児島市で小学校に公民館を併設した例があり、そこに集まる人々が世代を超えて声を掛け合うことで青少年問題への寄与、防犯への効果も認められています。
今回の提案では、現在小学校「内」に十分な説明無く「外部の人間が出入り空間」が設けられ問題となっている事もあり、こういった例とは異なって、小学校を中心とした「エリア」に設置しますが、それが小学校敷地内の一部に併設する場合であっても、外部に人間が許可無く小学校に立ち入らない構造とすることで、小学校にとって安全でありながらの利便性(併設された交流スペースに、小学校として利用価値が高い施設があった場合これを利用できる)と、住民への利便性を兼ね備えます。
基本的には昨今危惧されている、「公民館などの公共施設の建て替えが必要であるが、土地が市のものではなく、地主さんが『立て替えるなら明け渡して欲しい』と言っている」という事例にも対応するもので、交流スペースは「公民館」や「青少年会館」などの機能をベースに、「放課後こども教室」「生涯学習教室」「図書館分室」「地域行事の会合」「町内会」「消防団の会合」「ボランティアが行うお習いごと」などに利用してもらい、「地域の行事に関わる人」と「子供達」がこの場所で交差し、顔見知りや知り合いの輪、地域の絆=地域コミュニティが醸成していくための始まりの場所とすることを想定しています。
また交流スペースには弱者の視点から相談を受ける「まちかどの相談室」を設け、必要な行政との連携窓口とするほか、地域でできる事は地域で助け合えるようにする体制を整えます。
「まちかどの相談室」の元アイデアは、長野県にある「まちかどの保健室」であり、ちょうど小学校や中学校の子供達が、怪我をしている訳でもないのに保健室に集まり、養護教員にとりとめもないことを相談するような感覚を想定して頂けると良いでしょう。
役所の窓口のように、ある程度全体の市民サービスのために効率を優先しなければならない場所に対して、弱者視点で答えられる窓口を想定しています。いわゆる社会的弱者だけでなく、子育て世代などへのサポートの窓口もそうですが、家で育児をするママさんの相談やサポートへの窓口ともなる予定です。
現在の市民環境において、コミュニティが喪失していることは、様々な理由がありますが、人が多くなったのに交わる機会は少なくなった事がそのもっとも大きな理由であると考えます。そのため、様々な人の生活の動線を交差する場所を設けることで、コミュニティの醸成をはかります。副次的には子供達が「両親の子」と「学校」というコミュニティしか持たず、いじめなどにあったとき、他のコミュニティに逃げることが叶わず事態が深刻化する、そういったことに対する、セイフティネットにもなれると考えています。
なお、交流スペースによるコミュニティ醸成でセイフティネットが実現するとしても従来型の行政の支援サービスサービスは継続的に行われ、これによって必要な支援がカットされるものではありません。
「ふじさわ災害ナビ」は、災害を、地震・津波・原子力・その他の生活基盤を破壊する災害の4種に分け、災害が起こったときにどのように行動したらよいかを、各個別に書いたパンフレットです。各戸別に避難場所、避難所などが異なる場合は、それぞれの場所が書かれており、自分がどこに避難するべきか明確に分かるようになっています。
まず各戸別の「ふじさわ災害ナビ」が全戸配布され、その上でアレルギー体質者などを含む社会的弱者の方々には、それぞれの行政や医療での窓口にて、それぞれの環境に合った「オーダーメイド版」の「ふじさわ災害ナビ」を入手するように促します。また必要に応じて、インターネットから自分専用版を取り出す事も可能です。
なお紙媒体での「ふじさわ災害ナビ」は、自分が市中などへの外出をしていると、避難先情報などが異なるので、そういった例に対応する為に、スマートフォンアプリバージョンの「ふじさわ災害ナビ」を開発、配布します。アプリは事前ダウンロード型として開発し、災害時に通信回線が途絶しても内蔵GPS機能を利用して独立して動作し、使用に支障がないように設計されます。スマートフォンバージョンに関してはすべての方が使える訳ではないので、随時説明会を開き、災害時には使えるユーザーがリーダー的に行動して貰う事を検討します。また説明会では藤沢災害対策モデルの「安否確認・支援物資管理システム」の運用者の養成も行います。
「ふじさわ災害ナビ」の内容は、この災害時にはここに逃げなさいというだけでなく、次項の「藤沢災害対策モデル」で述べるように、弱者を優先的に域外退避させる場合、どこの市町村のどこに避難するべきなのか、或いは災害時にはどういった備えをすればいいのか、といった内容についても触れています。またアプリバージョンでは災害時から回線が復旧した場合は、各端末に常時アップデートされた情報が提供されるようにします。
コストは慶應義塾大学藤沢キャンパスのIT系卒業生でソフトウェア会社を起業している人に見積もり依頼した限りでは、地図データを除いても2〜300万円の範囲で制作可能とのことです。地図データに関しては公共性が認められるので、市役所側で地理院などに交渉する方がベターとのことです。また実際に宮城県女川町のヒアリングでは、NTT Docomoが同様のアプリの提案をしているという情報があり、現在提供されているアプリなどと比較しても実現可能考えています。
藤沢市独自の、災害時と災害前後の対応を定めた災害対策モデルです。
災害時に関しては従来の災害対策と異なり、「被災者が現地に留まり支援物資を運び込む」という方式が機能しない事を前提に、弱者から優先的に社会インフラが正常に機能しているエリアに退避させ、被災地域への物流、或いは現地で発生するであろう疫病、糞尿、ストレスによるトラブル、あるいは食料が届かない事による餓死を防ぐ事を骨子とします。退避は必要に応じて、弱者→小中学生の順で行われ、仮設住宅の建設が完了し一応の生活が送れるようになるまでの期間とします。
域外避難の場所は同種の災害に同時にあわないところとして、他自治体と協議して協定を結んでいきます。
地震・津波・原子力に関しては過去の事例から学ぶことができますが、その他の生活基盤を破壊する災害、おもにはパンデミックなど、避難しない方が良い災害に関しては、今後研究が必要であると考えます。
災害前の備えとしては、災害時の失業による収入途絶の対策として、被災域内に残った労働可能人員に関しては、積極的にがれき撤去などの作業に雇用するルール作りをして収入を確保。また即時の復旧活動にかかれるように、市内の建設業者などと復旧に必要な重機の拠出の契約を結び、災害復旧活動時の補償や保険の問題などをクリアしておきます。加えて発電機を持っている方、電源を供給可能なハイブリッド車のオーナー、キャンピングカーのオーナーには、補償規定を定めて災害時に拠出を願う契約を行います。
災害後の備えとしては、多大となる仮設住宅の用地をどこに確保するかの交渉や、津波時の非浸水地域の住宅に関して、余震による津波が想定される一定期間を経過したら、「津波に強い家」などの条件を満たした家ならば元の場所に再建して良い、などのルール作りがあげられます。
PTPSとは「公共車両優先システム」のことで、簡単に説明すると公共交通手段としてのバスに対して、専用や優先走行車線を割り当てたり、バスが交差点に近づくと信号を青にしてバスが進みやすい環境を作るシステムです。
また定時運行システムとは、さらにこれを高度にコントロールし、GPS位置情報も利用してバスを「電車のように時間に正確な運行をさせる」システムの事を指します。
従来バスは利便性は高いが時間信頼性が低い乗り物でしたが、これらのシステムを利用することにより、電車に比類する「時間があてになる乗り物」として、電車よりも低コストでかつ短時間にて路線網を構築できます。
また従来のバスで問題だった窒素酸化物などの問題も、ハイブリッドバスや電気バスが次第に導入されると予測され、結果として「道路を走る電車」と同じレベルまで利便性を向上することが可能であり、少ない投資で実現性も高くなります。また市民の視点からは、工事や税金負担などのもはるかに小さいものとなります。
その他の地域でも積極的に公共交通機関網を整備、バスの採算割れの原因が多くの場合は「正確でない」という点に着目し、2車線対面通行道路でも時間帯別に2車線一方通行にするなどでPTPSシステム用レーンを確保可能と考え、公共交通網の整備を提案します。